2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス嗅覚系におけるCO2センサーの新規動作機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
21026025
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
坪井 昭夫 Nara Medical University, 医学部, 教授 (20163868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 誠一 , 医学部, 助教 (90360669)
高橋 弘雄 , 医学部, 助教 (20390685)
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Keywords | CO2 / 嗅覚系 / 炭酸脱水酵素 / グアニル酸シクラーゼ / Pax6 / レンチウイルス / ノックインマウス / シングルセルマイクロアレイ |
Research Abstract |
マウス嗅上皮の腹側部には、嗅覚受容体の代わりに、炭酸脱水酵素Car2をセンサーとして発現する特殊な嗅細胞サブタイプ(Car2細胞と略称)が存在し、大気中のCO2を感知している。通常の嗅細胞が、匂い情報をcAMPシグナルへと変換するのに対して、Car2細胞では、Car2により生成された重炭酸イオンが受容体型グアニル酸シクラーゼGC-DのcGMP経路を活性化する。また興味深いことに、GC-D自身が尿に含まれるペプチド(guanylin, uroguanylin)のレセプターとして働くことも報告されている。通常の嗅細胞が単一の嗅覚受容体遺伝子を発現するのに対して、Car2細胞はCar2とGC-Dという2種類の異なるセンサーと独自のcGMPシグナル経路を持ち、CO2と尿からの情報を細胞レベルで統合していると予想される。私共は発生期から成体に至るまで、形態形成因子BMP7と転写因子Pax6がCar2細胞で特異的に発現していることを見出した。そこで私共は、レンチウイルスの発現系を用いて、新生仔のマウス嗅上皮へBMP7やPax6遺伝子を導入して、6日後に解析した。Pax6を嗅細胞で異所発現させると、興味深いことに、通常の嗅細胞で発現しているcAMPシグナル関連分子の発現が抑制されることが分かった。この結果は、Pax6はCar2細胞が通常の嗅細胞に分化することを妨げる負の制御因子として働く可能性を示唆している。一方、Pax6の異所発現によりCar2の発現は誘導されず、Pax6以外にもCar2細胞の分化を正に制御する因子の存在が示唆された。そこで今後、Car2細胞の発達やセンサー機能発現に関わる分子を同定するため、Car2細胞をGFP標識したノックインマウスから、Car2細胞と通常の嗅細胞をそれぞれ単離し、シングルセルマイクロアレイ法を用いて両者で発現量の差のある分子を探索する。
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Research Products
(8 results)