2009 Fiscal Year Annual Research Report
メリステム制御の基盤を支える植物幹細胞の不等分裂の分子機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
21027002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 知道 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (50322631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
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Keywords | 植物 / 幹細胞 / 細胞極性 / 不等分裂 / メリステム / イメージング |
Research Abstract |
植物の形態形成はメリステムにある幹細胞の増殖と分化のバランスにより制御されている。幹細胞の不等分裂はこのようなバランスを支える基本的しくみであり、メリステムを理解するためには幹細胞の不等分裂の分子制御機構の理解は不可欠である。これまでに幹細胞の不等分裂に関わる因子がいくつか報告されている。しかしながら、幹細胞はヘテロな細胞集団に囲まれて存在し、単離培養することが困難であるなどのため、細胞レベルでの分子機構はまだよくわかっていない。そこで、幹細胞が露出し、その不等分裂過程の細胞レベルでの研究に適したヒメツリガネゴケに着目し、不等分裂による幹細胞の自己複製と細胞分化が細胞周期とともにどのように制御されているかの分子機構の全体像をその時間軸にそった形で1細胞レベルから明らかにすることを目的とした。本年度は、不等分裂の制御に関わる3つの因子の機能解析をイメージング、遺伝子機能破壊体、誘導型過剰発現体を作成するなどにより行った。その結果、ヒストンシャペロンの1種、NAP1のヒメツリガネゴケオルソログが、細胞の増殖能維持に重要な働きをすることがわかった。また、ペクチンメチルトランスフェラーゼが、頂端幹細胞の極性形成または維持に重要な働きをしていることがわかった。さらに不等分裂制御の上流で機能すると考えられるGRASドメイン転写因子を同定できた。またこの遺伝子のmRNAあるいは遺伝子産物が細胞間を移動することにより不等分裂を制御する可能性が考えられた。さらに植物ホルモンアブシジン酸が不等分裂する幹細胞を、等分裂しかつ本来とは異なる性質をもつ幹細胞に運命転換する可能性に気づき、この転換過程における細胞骨格や細胞増殖因子の動態変化を追跡した。またこの制御にアブシジン酸シグナル伝達系ABI3転写因子が関わることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)