2009 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける茎頂メリステムの維持に関わる因子の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
21027007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 純一 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30345186)
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Keywords | 植物 / 遺伝学 / 発生・分化 |
Research Abstract |
茎頂メリステム(SAM)はそれ自身に含まれる幹細胞を維持するとともに、繰り返し新たな器官を分化するという植物において最も普遍的な機能を持つ組織であるが、これまでの研究からその維持機構は植物間である程度多様であることが明らかとなってきた。その多様性の機構を明らかにする為に、栄養成長初期にSAMが維持されずに枯死してしまう変異体系統を同定し、原因遺伝子の単離とその詳細な解析を進めた。本研究で解析を行ったWAF1遺伝子は小分子RNAの安定性に関わる因子をコードしており、イネ変異体ではSAMが維持できない。まずWAF1遺伝子がどのようにしてSAMの維持に関わっているのかを明らかにするために、小分子RNAの蓄積とそれらのターゲット遺伝子の発現を観察した。マイクロアレイ解析によってwaf1変異体では様々な遺伝子に発現変化が観察されたが、意外なことに小分子RNAのターゲット遺伝子の発現に劇的な変化は認められなかった。つぎに、SAMの分化・維持に関わるshoot organization (sho)変異体との二重突然変異体を作成した。sho変異体はある種の低分子RNA(ta-siRNA)の生成に関わる遺伝子の機能喪失突然変異体である。その結果、二重突然変異体の表現型はそれぞれの変異体より強い表現型を示した。これらのことから、WAF1はシロイヌナズナと同様に多くの小分子RNAの安定化に関わっていること、小分子RNAとそのターゲット遺伝子の間には発現変化を維持する複雑な制御機構が存在すること、シロイヌナズナとは異なりイネにおけるSAMの維持にはta-siRNAが重要であること、などが明らかとなった。また、変異体のスクリーニングによりSAMの維持に関わる新たな変異体を複数同定した。これらの変異体の更なる解析により、植物間でのSAM維持に関わる多様性の機構が明らかになっていくことが期待される。
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[Journal Article] PLASTOCHRON3/GOLIATH encodes a glutamate carboxypeptidase required for proper development in rice2009
Author(s)
T Kawakatsu, G Taramino, J-I Itoh, J Allen, Y Sato, S-K Hong, R Yule, N Nagasawa, M Kojima, M Kusaba, H Sakakibara, H Sakai, Y Nagato
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Journal Title
Plant Journal 58
Pages: 1028-1040
Peer Reviewed
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