2010 Fiscal Year Annual Research Report
相転換に伴うメリステムアイデンティティー決定機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
21027027
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
相田 光宏 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特任准教授 (90311787)
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Keywords | 植物 / 花 / メリステム / アイデンティティー / 枝 / 幹細胞 / 器官形成 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
植物は成長の過程で、適切な時期に適切な場所で花を作る。この時、どのような遺伝子が働いているのかを明らかにすることは、植物の成長メカニズムを理解するために極めて重要である。花の元になる部分(原基)は、花メリステムと呼ばれる未分化な組織で、盛んに細胞分裂を行って萼片、花弁、雄しべ、雌しべと行った各種花器官を形成する。これまでの研究から、シロイヌナズナの転写調節因子PUCHIが花メリステムにおける細胞の運命決定に関わることが明らかになっていた。本研究ではPUCHIの遺伝子機能が破壊された突然変異体を、他の遺伝子の突然変異体と組み合わせてその影響を詳しく調べることにより、PUCHIの機能をより詳しく明らかにした。これまでに知られた花メリステムの細胞運命決定因子(LFY、UFO)や分裂活性の維持に関わる因子(CUC2、CUC3、FIL)の突然変異体と組み合わせたところ、花メリステムがほとんど形成されず、花を欠失してしまう表現型が見られた。PUCHIとLFYの二重変異体についてさらに詳しい形態解析を行ったところ、メリステムの細胞分裂活性と密接に関係するマーカーであるSTM遺伝子の発現が著しく減少することが分かった。以上から、PUCHIは花メリステムの細胞運命決定のみならず、分裂活性を保つのにも重要な役割を果たすことが明らかになった。現在、PUCHIがどのようにしてこれらの機能を果たすのかを、分子レベルで解析中である。
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