2010 Fiscal Year Annual Research Report
花成を制御するフィトクロムBのシグナル伝達機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
21027029
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松下 智直 九州大学, 大学院・農学研究院, 特任准教授 (20464399)
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Keywords | フィトクロム / 植物 / 光受容体 / シグナル伝達 / 花成 / 環境応答 |
Research Abstract |
花成を制御する最も重要な外的要因の一つが光であり、その情報は主に植物の主要な光受容体であるフィトクロムによって捉えられる。フィトクロム蛋白質は、光受容に働くN末端領域と、キナーゼドメインを持つC末端領域からなり、これまでフィトクロムはC末端領域内のキナーゼ活性により下流にシグナルを伝達すると考えられてきた。しかし我々の最近の研究により、フィトクロムの最も主要な分子種であるphyBが、C末端領域からではなくN末端領域からシグナルを発信することが証明され、フィトクロムのシグナル伝達機構を一から見直す必要が生じた。 そこで本研究では、大規模な変異体スクリーニングによる順遺伝学的解析を行い、phyBシグナル伝達経路の根本的な見直しを図ることを目的として、フィトクロムと重複した機能を持つクリプトクロムの欠損株背景で約25万系統のアクチベーションタギングラインを作製し、光応答の低下を示す変異体をスクリーニングした。その結果、正常なphyB蛋白量を保ちながら、赤色光条件特異的に胚軸徒長を示す変異系統を単離した。この系統は、これまでに調べた限り全てのphyB反応において異常を示し、原因遺伝子を解析した結果、新奇の核局在性RNA結合蛋白質をコードする遺伝子の機能欠損型劣性変異体であることがわかった。これらの結果は、この新奇RNA結合蛋白質がphyBのシグナル伝達における正の因子として特異的に働くことを示す。さらに、この原因遺伝子について数多くの変異体アリルを解析することにより、機能を完全に失うnullアリルは致死性を示すが、蛋白質のC末端部分のみを欠損するアリルは生育可能で、phyB反応特異的な異常を示すことを見出され、この蛋白質のC末端部分がphyBシグナル伝達において重要な役割を担うことがを示唆された。
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Research Products
(3 results)