2009 Fiscal Year Annual Research Report
メリステムにおける核内倍加周期の抑制機構
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
21027032
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
杉本 慶子 The Institute of Physical and Chemical Research, 細胞機能研究ユニット, ユニットリーダー (30455349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 すみれ , 植物免疫研究チーム, 基礎科学特別研究員 (50532131)
石田 喬志 , 細胞機能研究ユニット, 基礎科学特別研究員 (00462656)
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Keywords | 植物メリステム / 細胞増殖 / 核内倍化 / SUMO化修飾 / 細胞サイズ |
Research Abstract |
多くの植物細胞はDNA複製と細胞分裂が交互に起きる細胞分裂周期を経た後、細胞分裂を伴わずDNA複製のみ起こる核内倍加周期に移行する。核内倍加周期への移行は、通常細胞が伸長生長を伴った最終的な分化を開始する時期に起きるため、植物の形態形成を司る重要な過程の一端であると考えられる。本研究ではシロイナズナのメリステムで細胞分裂周期を促進し、核内倍加周期を抑制する分子機構の解明を目指している。私達が解析を進めている新規変異体high ploidy 2 (hpy2)では、茎頂・根端のメリステム領域が縮小し、同時に一部のメリステム細胞が異所的に肥大生長する。今年度行った解析から、hpy2のメリステム領域ではcyclin Bやcyclin-dependent kinase Bを始めとする細胞分裂制御因子の発現量が低下し、メリステム細胞が野生型より早く核内倍化周期に移行することが明らかになった(Ishida et al. Plant Cell 2009)。またHPY2遺伝子がこれまでに未報告のSUMO E3 ligaseをコードしていることを確認し、実際にHPY2がin vivo及びin vitroでSUMO E3 ligaseとして機能することを実験的に示した。さらにHPY2が主にメリステムの分裂細胞で発現すること、またメリステムのパターン形成に関与する転写因子PLETHORAI (PLT1)及びPLT2の下流で機能することを解明した。これらの結果からHPY2によるSUMO化翻訳後修飾機構が、PLT依存的なシグナル経路を介して細胞周期の転換及びメリステムの維持過程を制御することが明らかになった。さらにオーキシンが細胞分裂周期から核内倍加周期への移行過程を調節するというこれまで知られていなかった新規の生理的作用を持つことを明らかにした(Ishida et al. Development 2010)。特にオーキシンの濃度勾配が予測されるシロイナズナの根端メリステムにおいて、TIRIにAUXIIAA-ARF依存的なオ二キシンシグナルのレベルが高いと核内倍加が抑制され、その結果細胞分裂活性が維持されること、一方オーキシンシグナルレベルが低下すると核内倍加周期への移行が促進され、核相の上昇が始まることを解明した。
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Research Products
(15 results)