2009 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞特異的クロマチン修飾因子の機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
21028015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
束田 裕一 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 助教 (90444801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)
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Keywords | エピジェネティクス / クロマチン / 生殖細胞 / ゲノム / 酵素 |
Research Abstract |
哺乳類受精卵ではDNAのメチル化やヒストンの翻訳後修飾の変化を含むクロマチンの構造変化による細胞核のリプログラミングが起こる。このリプログラミングは卵母細胞に発現している母性因子により担われている可能性が高い。研究代表者らは、進化的に保存されたヒストン脱メチル化酵素ファミリーとしてJmjCドメイン含有タンパク質ファミリーを世界で初めて発見し、このJmjCドメイン含有タンパク質ファミリーの中に卵母細胞特異的な発現パターンを示す分子が存在することを見出した。そこで本研究課題では、この卵母細胞特異的な発現パターンを示すJmjCドメイン含有タンパク質のヒストン脱メチル化酵素としての基質特異性を決定し、「細胞運命の決定」が起こるマウス卵母細胞の分化過程及び「リプログラミング」が起こるマウス受精卵の初期発生における機能解析を行うことで、細胞運命の決定・遺伝情報のリプログラミングにおけるヒストンのメチル化の機能及び制御機構を解明することを目的とする。 当該年度は、卵母細胞特異的ヒストン脱メチル化酵素の基質特異性を研究代表者らが構築した以下の3種類の脱メチル化活性検出系を用いて解析した。 (1) RIでラベルしたメチル基の脱メチル化による放出を計測する方法 (2) メチル化ヒストン特異的抗体を用いたImmunoblot解析により脱メチル化反応によるメチル化ヒストンレベルの減少を検出する方法 (3) メチル化ヒストンから脱メチル化反応により生じる無メチル化ヒストンを質量分析計を用いて検出する方法これらの脱メチル化酵素活性検出法による解析の結果、卵母細胞特異的JmjCドメイン含有タンパク質は、遺伝子のサイレンシングに関与するヒストンH3K9とK27のメチル化に対して脱メチル化活性を持つヒストン脱メチル化酵素であることが明らかとなり、本酵素が遺伝子サイレンシングマークの強力な消去因子であることが推測された。
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