2009 Fiscal Year Annual Research Report
天然物を利用した体細胞核の初期化促進に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
21028022
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
加藤 容子 Kinki University, 農学部, 教授 (40278742)
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Keywords | 核移植 / クローン / 体細胞 / 天然物 / 初期化 |
Research Abstract |
体細胞クローン動物の作出効率は現在でも依然として低く,その原因は,様々な不具合が複雑に絡み合った結果であると考えられる。それらの不具合は,たとえばヒストン蛋白質のアセチル化を修整する処理(TSA処理)や初期化に関与するタンパク質(TCTP)の導入等を行うことで多少改善されるものの,劇的な向上には結びつかず,体細胞核移植後の正常産子生産率は,依然として数パーセント程度である。このことから,体細胞を核移植後,正しく初期化させて正常に発生させるには,ピンポイントの救済術では不十分である可能性があると考えられる。 本研究では,体細胞全体,あるいは卵全体の潜在的な生命力を高めることを期待して,天然物を用いた初期化促進法の開発,ならびに,天然物による胚の質の改善と向上を試みる。本年度は下記を中心に実施した。 すなわち,初期化を促進する天然物ならびに胚の質を改善する天然物の探索を行った。滋養強壮,不妊治療,傷の治療などに効果があるとされている生薬を中心とした約100種類の天然物の中から,平成16年度~19年度の基盤A研究(研究分担者)「初期化誘導活性を持つ天然物の探索;クローン個体の作出,未分化対細胞株樹立への応用」の中で得られた知見に基づき初期化の促進に有効と考えられるものを選び出し,受精卵を用いて増殖能などが向上し胚の生命力に効果がみられる天然物を見つけ出すことを目的として実施した。 約40種の天然物を用いて,受精卵の発生能を検討したところ,胚盤胞への発生能はいずれも対照区と大差がみられなかった。しかしながら,胚盤胞の細胞数(ICM, TE)が対照区と比較して有意に向上しているものがいくつかみられた。これらの結果を踏まえて,次年度は体細胞核移植卵の発生能に対する影響を検討する。
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