2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ精子形成変異体の原因遺伝子の単離とその機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
21028024
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
酒井 則良 National Institute of Genetics, 系統生物研究センター, 准教授 (50202081)
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Keywords | 精子形成 / 減数分裂 / 突然変異体 / ゼブラフィッシュ / 雄生殖細胞培養系 / ライディッヒ細胞 / セルトリ細胞 |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュの精子形成異常突然変異体をスクリーニングして、減数分裂に異常を持つ3系統OG034-02とOG039-03、LG451-03を単離した。精巣切片による表現型の解析では、3系統ともに精細胞と精子がなく、精母細胞の段階で精子形成が停止しており、相補テストを行ったところ3種の変異はそれぞれ異なる遺伝子に起こっていた。減数分裂細胞のシナプトネマ構造を認識するSYCP3抗体を用いて解析を行ったところ、OG034-02ではレプトテン期に入るよりも前に、そしてOG039-03とLG451-03ではパキテン期に入るよりも前に精子形成が停止することがわかった。DNA double strand breakを認識するγ-H2AXの発現解析では、OG039-03とLG451-03では既にレプトテン期から異常が生じていることが明らかとなった。また、それぞれの変異体においてアポトーシス細胞は、OG039-03ではライディッヒ細胞と生殖細胞で、LG451-03はセルトリ細胞で認められた。以上の結果から、3つの突然変異体は精子形成の異なる遺伝子に変異が起こっていることが示唆された。さらに、変異体の細胞とセルトリ細胞株ZtA6-12との共培養により分化誘導を行ったところ結果、3つの変異体ともに生殖細胞そのものに異常があることが明らかとなった。一方、それぞれの精巣を、初期精原細胞を染める抗Plzf抗体で調べたところ、野生型と違いは認められなかった。これらの解析から、突然変異体3系統の表現型は減数分裂過程の特異的な変異であり、類似の表現型がマウス等でまだ見つかっていないため、新規のものである可能性が高い。現在、ポジショナルクローニングにより原因遺伝子を単離している段階である。
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