2009 Fiscal Year Annual Research Report
四回対称軸を持たない立方晶希土類化合物における八極子相互作用の検証
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
21102503
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松岡 英一 Kobe University, 大学院・理学研究科, 准教授 (20400228)
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Keywords | 八極子秩序 / 四極子秩序 / 磁気秩序 / 希土類パラジウムブロンズ / 比熱測定 / 磁化測定 / 電気抵抗率測定 / 磁気相図 |
Research Abstract |
本研究の目的は、四回対称軸を有しない立方晶結晶構造を持つ希土類パラジウムブロンズRPd_3S_4(R:希土類)、及びそのRサイトを多極子自由度を持たないGdで置換したR_<1-x>Gd_xPd_3S_4の各種物性測定から、八極子相互作用がRPd_3S_4の物性に及ぼす効果を明らかにすることである。平成21年度に得られた成果は以下の通りである。 1. NdPd_3S_4の単結晶試料の磁化、比熱、電気抵抗率測定から、8Tの磁場下までの磁場-温度相図を作成した。1T以下の磁場下で現れる反強磁性秩序相への転移は一次相転移的であることが分かった。転移が一次相転移的である原因として、1T以下の相への相転移で、反強磁性秩序と同時に双極子と対称性の異なる八極子の秩序が生じた可能性が考えられる。1T以上の磁場を印加すると、転移温度が異方的に増加することを見出した。このような転移温度の増加は、磁場により反強四極子秩序が誘起されたことを示唆している。[100]軸方向に磁場印加した場合、磁場誘起相は一つだけである。一方、[110]と[111]に磁場印加した場合は、それぞれ二つと三つの磁場誘起相が表れることが分かった。 2. NdPd_3S_4の1T以下で見られる反強磁性相が、反強磁性秩序と八極子秩序との共存相であることを検証するため、磁気相互作用を強め八極子相互作用を弱めたNd_<1-x>Gd_xPd_3S_4の多結晶試料を作製した。次年度に単結晶化を行い、磁化、比熱、電気抵抗率測定による物性評価を行っていく。
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Research Products
(14 results)