2010 Fiscal Year Annual Research Report
四回対称軸を持たない立方晶希土類化合物における八極子相互作用の検証
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
21102503
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松岡 英一 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20400228)
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Keywords | 多極子秩序 / 磁気秩序 / 八極子秩序 / 希土類パラジウムブロンズ / 磁化測定 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、四回対称軸を有しない立方晶結晶構造を持つ希土類パラジウムブロンズRPd_3S_4(R:希土類)の各種物性測定から、八極子相互作用がRPd_3S_4の物性に及ぼす効果を明らかにすることである。平成22年度に得られた成果は以下の通りである。 (1)NdPd_3S_4の1T以下で見られる反強磁性相が、反強磁性秩序と八極子秩序との共存相であることを検証するため、粉末中性子回折実験による磁気構造の決定を行った。反強磁性転移温度以下では核散乱に加えて、磁気散乱によるブラッグピークが現れ、波数ベクトルk=[100]で記述される反強磁性構造を考えることで指数付けすることが出来た。Ndサイトは体心立方構造を取るため、この反強磁性構造は、角にあるNdの磁気モーメントと体心にある磁気モーメントとが互いに逆向きである磁気構造であると言える。k=[100]の構造は、反強磁性と八極子秩序が共存する場合の磁気構造として矛盾しない。 (2)これまで作製してきたSmPd_3S_4には不純物が含まれており、磁化率の測定を行うと不純物に起因すると思われる異常が観測されていた。試料作製時のSmの組成比を最適化することで、不純物をほとんど含まない純良な多結晶試料を作製することに成功し、磁化と磁化率の測定を行った。その結果、不純物に起因する磁化率の異常がほとんど消失した。さらに、2.6K以下で磁化率の不連続な減少が見られたことから、SmPd_3S_4はこの温度以下で一次の反強磁性転移を示すことが明らかとなった。転移の次数が一次である原因として、1)反強磁性と反強八極子の同時転移、2)強い四極子相互作用の影響、という二つの可能性を提案した。
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Research Products
(19 results)