2009 Fiscal Year Annual Research Report
多自由度モデルに基づく重い電子系超伝導の理論的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
21102506
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柳瀬 陽一 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (70332575)
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Keywords | 重い電子系超伝導 / FFLO超伝導 / 不純物効果 |
Research Abstract |
今年度は主に重い電子系超伝導体CeCoIn5におけるFFLO超伝導の可能性について研究を行った。超伝導の標準理論であるBCS理論では、クーパー対が運動量を持たないことが仮定されている。それに対して、有限の運動量を持つクーパー対の量子凝縮による超伝導相がFFLO超伝導である。CeCoIn5の低温高磁場において新しく見つかった超伝導相がFFLO超伝導相であるという指摘があったが、その相において反強磁性秩序が見つかったため、その正体は混迷を深めていた。 この新しい超伝導相の正体を探るため、スイス連邦工科大学のManfred Sigrist教授と共同で理論研究を行った。d波超伝導と反強磁性の多重量子臨界点を記述する有効モデルを平均場近似によって解析した結果、この新しい超伝導相の正体がFFLO超伝導と反強磁性の共存相であることが分かった。我々の計算結果は相図の特徴をよく再現し、中性子散乱や核磁気共鳴の実験結果から得られた磁性の特徴とも一致した。理論的提案から40年以上を経たFFLO超伝導が重い電子系において初めて実現したことを強く示唆する研究成果となった。この成果はJ.Phys. Soc. Jpn.の注目論文に選ばれるとともに、科学新聞において報道された。 また、このように反強磁性臨界点近傍においてFFLO超伝導が起こる場合にランダムネスが及ぼす影響を調べた。不純物ポテンシャルを含む微視的モデルをボゴリウボフ-ド・ジャン方程式に基づいて解析した結果、新しいタイプのグラス相が現れることを見出し、これをFFLOグラス相と名付けた。その相において期待される磁気的性質を調べ、その空間分布と統計性に現れる特徴を見出した。
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Research Products
(15 results)