2009 Fiscal Year Annual Research Report
パウリ常磁性がもたらす新奇超伝導相の理論
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
21102509
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 隆介 Kyoto University, 理学研究科, 准教授 (60221751)
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Keywords | 重い電子系 / 超伝導 / 渦糸 / FFLO / 反強磁性 |
Research Abstract |
本課題に関する研究の21年度の主な目的は、(1)平行磁場下のCeCoIn5の高磁場相においてのみ実験的に観測された反強磁性秩序とこの相をFFLO超伝導とする解釈が相入れるかを明確にすること、(2)空間反転対称性のない超伝導体に固有の磁場下の超伝導現象を理論的に提案すること、の2点であった。(1)については、以下の2つの主要な成果を得た。まず、'08年度に実験的に報告された高磁場相への2次転移の異常なドーピング依存性はFFLO状態の弾性と不純物との相乗効果であれば半定量的に説明できるが、空間変調のない状態を高磁場相に対して仮定する限りこの現象は説明できないことを理論的に示した。これとは別に、パウリ常磁性の強い系では超伝導相内で磁場が増大するとともに、非整合反強磁性が誘起される傾向にあることを示した。つまり、パウリ常磁性の強い系ではFFLO状態と反強磁性とがともに高磁場相として起きやすいことが明らかとなった。これが、多くのパウリ常磁性の強いd波対状態超伝導物質に共通してHc2(0)近傍に位置する反強磁性量子臨界点を示唆する現象が見られているという実験事実の基本原理になっていると考えられるため、さらに掘り下げて研究する予定である。(2)について21年度は、ラシュバ型スピン軌道結合エネルギーを持つ超伝導体の対称面に平行磁場下で期待される異方的パウリ常磁性効果と空間反転対称性の欠如に起因するスピン一重項と三重項対状態の混成とが織りなす相乗効果をGL理論の枠内で調査した。 (1),(2)の成果は6月~7月に東京大学物性研究所で開催された新奇超伝導の最近の理論に関する国際ワークショープや9月の国際ボルテックスワークショップでの招待講演で発表された。
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Research Products
(5 results)