2009 Fiscal Year Annual Research Report
圧力誘起誘起超伝導体における磁場誘起反強磁性相の電子状態の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
21102511
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
摂待 力生 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00251041)
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Keywords | 圧力 / 反強磁性 / 超伝導 / 量子臨界点 |
Research Abstract |
本研究の研究目的は,f電子系圧力誘起超伝導体において,磁気秩序が消失する量子臨界領域で発現する超伝導と磁性との相関を明らかにすることである。これらの系の超伝導は、磁気揺らぎあるいは価数揺らぎ,構造的な不安定性と深く関連していると考えられており、その電子状態や磁性の不安定性と超伝導の関連を明らかにしたいと考えている。そこで本研究では,高圧、強磁場、極低温下の極限環境下での電気抵抗,磁場中比熱,および熱膨張係数の実験により,量子臨界点近傍の磁性と超伝導の研究を行なうこととした。 そのため、本年度はまずCeIrSi_3の加圧下・磁場下での電気抵抗の測定を行った。それにより、反強磁性が消失する圧力P_c^*=2.25GPa以上の圧力したで磁場を印可すると、磁場下で再び反強磁性と思われる相が誘起されてくることを見いだした。また、仮強磁性消失する近傍から圧力誘起の超伝導が出現するが、量子臨界点のP_c=2.6GPaへ向かって加圧するとともに、この磁場下で誘起される反強磁性相は、より低温側へとシフトしていく。そして、Pcより高圧側ではもはや磁場誘起の相は消失してしまう。一方、超伝導上部臨界磁場H_<c2>(0)もまたP_cに向かって高磁場側へとシフトしていき、P_cの極近傍で発散的に大きくなり、P_cを超えると急激に小さくなる。このように磁場誘起の反強磁性相と超伝導相には何らかの相関が有ると考えられる。この結果は、ドイツで開催された磁性に関する国際会議で報告した。また、超伝導相内に磁場誘起の反強磁性相が共存しているのかどうかを調べるために、加圧下・磁場下の交流比熱測定を開始した。これに関しては、現在までのところ超伝導相および常伝導相における反強磁性の確認は出来ているが、超伝導と磁場誘起反強磁性相が共存しているのかどうかに関してはわかっていない。今後の課題である。
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Research Products
(4 results)