2009 Fiscal Year Annual Research Report
PrOs4Sb12における多重極揺らぎと重い電子超伝導の核磁気共鳴法による研究
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
21102514
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川崎 慎司 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 講師 (80397645)
|
Keywords | 核磁気共鳴 / 重い電子系 / 超伝導 / 低温 / 高圧 |
Research Abstract |
本研究目的達成のために、5GPa以上の圧力印加を目指し、圧力発生装置開発に取り組んだ。研究最終年度に向け現在圧力装置の試験を行っている。本研究ではこれまでに、P=3GPa以上の高圧下でSb-NQR測定に世界で初めて成功したが、来年度その記録をP=5GPa以上に更新出来ると考えている。その上で、本研究計画内容の遂行が達成できると確信している。研究初年度として、研究最終年度へ向けた効果的な準備ができたと考えている。 本年度は、本研究主目的以外にも、空間反転対称性の破れた系における超伝導、高温超伝導体の強磁場NMRによる研究、そしてGo酸化物超伝導体の母物質における電子相関の研究(研究業績欄参照)にも取り組み、重い電子系超伝導のみならず、超伝導全体を俯瞰したグローバルな観点から超伝導発現機構解明に向けた研究に積極的に取り組んだ。特に強磁場(H=44T)を利用したNMR実験では、米国立強磁場研究所にて高温超伝導体の擬ギャップの基底状態に関する研究を行い、これまでは未知であった擬ギャップの基底状態を明らかにし、高温超伝導研究を夫きく前進させる結果を得た。本研究成果は、日本物理学会第65回年次大会にて報告した。 また、Co系超伝導体Na_xCoO_2・H_2Oはその電子相図から同じ3d電子が電子相関を担う銅酸化物高温超伝導体との比較が興味深い。しかしながらその母物質であるCoO_2の基底状態は、その試料合成の困難さからこれまで実験的に不明であった。本研究では最近合成に成功した純良CoO_2試料のCo-NMR/NQR測定を行い、CoO_2の基底状態が、銅酸化物で見られるモット絶縁体とは異なり通常金属と似た振る舞いを示すことを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)