2009 Fiscal Year Annual Research Report
多f電子系における価数揺らぎと多極子秩序の理論
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
21102520
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
椎名 亮輔 Kanagawa University, 工学部, 准教授 (30326011)
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Keywords | f電子系 / 多極子 / スクッテルダイト / 重希土類 / X線散乱 / 輸送現象 / 四極子秩序 / 磁場 |
Research Abstract |
本年度は、主にスクッテルダイトPrRu_4P_<12>の電荷秩序状態の解析に取り組んだ。f^2結晶場状態の特徴を取り込んだモデルに対して動的平均場理論を定式化し、種々の輸送特性の計算を行った。電気抵抗の温度及び圧力変化、光学伝導度の周波数依存性、ホール伝導度の温度変化のそれぞれに関して計算結果が実験とよく一致していることを示した。また、それらについて、電荷秩序状態でのf電子熱揺らぎの詳しい分析を行い、異常な輸送特性の原因を議論した。 重希土類系TmTeの四極子秩序によるX線トムソン散乱の解析にも取り組んだ。まず、Tmイオン間の多極子相互作用モデルに関して平均場近似を行い、磁場中の安定秩序状態を決定した。その結果を用いて、Tmイオンがf^<13>配位であることに注意して、散乱強度の散乱ベクトルGに対する依存性を詳しく調べた。磁場方向、秩序変数により、G依存性が大きく変わること、またその特徴について詳しく議論した。これらは、将来のX線実験の有力な指針になると思われる。 その他、PrRu_4P_<12>の有効ハミルトニアンのjj結合近似に基づく導出にも取り組み、低温の磁気的性質の解明の足場を築いた。
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