2009 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ドット-微小共振器結合系のコヒーレント量子分光
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
21104511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 隆朗 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特定准教授 (10343146)
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Keywords | 量子ドット / 微小共振器 / 量子エレクトロニクス / 光物性 / 量子閉じ込め |
Research Abstract |
量子ドットと微小共振器を強く結合することにより自由空間モードへの散逸を抑制し、量子状態の純粋度を損なうことなく検出することが可能な系を構築するため、高いQ値と小さなモード体積を持つ微小トロイド共振器、およびこの共振器に対して外部から高効率に結合できる単一モード導波路であるテーパー・ファイバーの作製技術の開発を行った。微小トロイド共振器については、厚さ2ミクロンのシリコン酸化膜を成長させたシリコン基板に対して、標準的な半導体微細加工技術であるフォトリソグラフィーとエッチングにより直径30ミクロン~80ミクロン程度のディスクパターンを形成した後、炭酸ガスレーザー照射によりディスク周辺部の溶融・再固化処理を施して作製した。ディスクパターンの直径と炭酸ガスレーザー照射の強度を変えることで、さまざまな主直径・副直径を持つトロイド共振器の作製に成功した。また、予備的な測定の結果、Q値として3×108の値を得た。これは、海外の複数のグループで作製されているトロイド共振器と比較しても、最も高いQ値の一つである。特に、他グループの多くがガラスの吸収に起因する損失の低い通信波長帯での測定結果であるのに対し、本研究では850nm付近の波長での測定結果であることを考慮すると、非常に高品質な共振器が作製できたといえる。また、テーパー・ファイバーについては、モード結合の断熱条件をもとに作製条件を最適化し、99%を超える透過率を達成した。これは、サブ波長径を持った真空クラッド型のテーパー・ファイバーとしては現在報告されている中で最も高い透過率であり、これまでの記録と比較して5倍程度の損失の抑制に対応する。また、CdSe/ZnSコアシェル型量子ドットの基礎光学測定を行った。
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