2009 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンフォトニック結晶光ナノ共振器におけるラマン効果の増強に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
21104512
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高橋 和 Osaka Prefecture University, 21世紀科学研究機構, 講師 (20512809)
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Keywords | フォトニック結晶 / 高Q値ナノ共振器 / ラマン散乱 |
Research Abstract |
本研究は極微小体積、高Q値を併せ持つフォトニック結晶光ナノ共振器におけるラマン効果増強を実証することを目的としている。初年度はA)共振波長1.50μm以下でQ値100万以上を持つSiナノ共振器の作製、B)ナノ共振器からのストークスラマン散乱光のスペクトル測定、C)Q値300万以上の実現という3つの研究計画を予定通りに行い、研究A,Cにおいては計画以上の成果を挙げることに成功した。なお本科研費は申請者にとって初めて受ける研究助成金であり、大阪府立大学で研究備品ゼロから世界レベルの研究室を作るための貴重な支援となった。 研究A:これまでQ値100万以上を持つナノ共振器の動作波長は1.55μm~1.60μmに限定されていたがその動作波長域を1.37μmまで拡大させた。特に水の吸収が大きいことで知られる1.46μmでもQ値250万を得たことは高Qナノ共振器を用いたデバイスの応用波長範囲を拡張する重要な成果となった。 研究B:Siナノ共振器からの微弱なストークスラマン光を光通信波長域で測定するための顕微分光系を助成金を用いて構築した。Q値100万、共振波長1.46μmを持つナノ共振器からのラマンスペクトル測定を室温において行い、Siのフォノンエネルギー分だけラマンシフトしたスペクトルピークを1.58μmに観測した。ナノ共振器におけるラマン増強の理論予測は多くあるが、実際にラマン散乱光を観測したのは世界初である。 研究C:ナノ共振器におけるラマン効果増強に肝要となるナノ共振器のQ値をこれまでの250万から360万まで向上することに成功した。Q値200万以上を達成した論文は2年間で通算150回以上引用されており、本成果も大きなインパクトを持つと予想される。また、Optics Expressに掲載された論文はハイライト論文に選ばれ世界中に大きく宣伝されるとともに、日刊工業新聞でも紹介された。
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Research Products
(14 results)