2009 Fiscal Year Annual Research Report
多成分内部自由度を持つ冷却フェルミ原子の秩序状態とダイナミクス
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
21104514
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
菅 誠一郎 University of Hyogo, 工学研究科, 教授 (40206389)
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Keywords | 冷却フェルミ原子 / 光格子 / カラー超流動 / トリオン / 有限温度 / 相図 / 自己エネルギー汎関数法 |
Research Abstract |
今年度は、主として光格子中の3成分内部自由度を持つ冷却フェルミ原子気体の絶対零度、および有限温度で現れる状態を自己エネルギー汎関数法により調べた。ハーフフィリィングにおいて計算した結果、絶対零度では引力が弱い場合、3成分原子のうちの2成分原子がクーパーペアを作ったカラー超流動状態が基底状態になり、引力を強くすると3成分原子が一重項束縛状態を形成したトリオン状態へと1次相転移をすることを明らかにした。この結果は、二つの状態間の相転移が2次転移と結論した従来の結果と異なるが、計算精度やエネルギーの展開式などから本研究結果が正しいと考えられる。さらに、計算を有限温度に拡張してフェルミ流体、カラー超流動、トリオン状態間の引力と温度に関する相図を得た。そして、フェルミ流体とカラー超流動の相転移は2次転移、カラー超流動とトリオンの相転移は1次転移、フェルミ流体とトリオン間は相転移ではなくクロスオーバーであることを明らかにした。次に、実験に対応して3成分原子間引力の異方性を取り入れ、これら3状態の相転移とクロスオーバーを調べた。その結果、カラー超流動転移温度は異方性が強くなるのに従って増大し、その極限では等方的引力での転移温度の2倍程度高くなることを明らかにした。異方性の強い極限は2成分冷却フェルミ原子系に等しく、光格子中の2成分冷却フェルミ原子系での超流動は6^Liなどで観測されていることから、光格子中の3成分6^Liフェルミ原子系においてカラー超流動などの観測が期待される。
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Research Products
(17 results)