2010 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子への不純物ドープによるキャリア密度制御と新規発光過程の探索
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
21104517
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石墨 淳 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (10346314)
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Keywords | 量子ドット / 光物性 / 活性不純物 |
Research Abstract |
半導体ナノ粒子への不純物ドープによるキャリア密度制御を行うため、ドープしたドナー電子が受ける量子閉じ込め効果の影響について研究した。まず、CdSナノ粒子にドナーとしてAl^<3+>、アクセプターとしてAg^+をドープした試料を作製し、そのドナー・アクセプター(DA)ペア発光について調べ、DAペア発光に関与する電子はナノ粒子中に非局在化した電子であることを明らかにした。しかし、この発光機構において、ドープしたAl^<3+>イオンの発光への寄与が不明確であった。Al^<3+>イオンの発光への寄与を明らかにするためには、粒子サイズ分布が小さく、DAペア発光に加えてバンド端発光も明確に観測される良質な試料を準備し、その発光特性を詳細に検討することが必要である。そこで、次に、新しい試料作製方法を導入し、より良質な試料を作製することを試みた。これまでは、室温、大気中で容易にナノ粒子を合成できる逆ミセル法を用いてきたが、新たに高温プロセスを用いたナノ粒子合成法を確立し不純物をドープしたナノ粒子の作製に成功した。MnイオンをドープしたCdSナノ粒子では、狭い粒子サイズ分布、強いバンド端発光の観測、ナノ粒子表面欠陥による発光の低下、バンド端およびMn発光の量子収率の増加といった多くの点で、逆ミセル法によって作製した試料と比較して著しい特性の向上が確認された。同様の手法を用いて、Al^<3+>、Ag^+のドーピングも行い、DAペア発光が観測される試料の作製にも成功した。この成果によって、ドナー電子が受ける量子閉じ込め効果の影響、および発光への寄与について明らかにするためのより詳細な実験が可能になった。
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