2009 Fiscal Year Annual Research Report
1次元/2次元複合電子デバイスによるTHz帯単一光子検出器の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
21104519
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河野 行雄 The Institute of Physical and Chemical Research, 石橋極微デバイス工学研究室, 専任研究員 (90334250)
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Keywords | テラヘルツ / 単一光子検出器 |
Research Abstract |
1. 検出原理 本研究で開発する検出器は、2次元電子ガス中でTHz光励起された電子-正孔ペアがもたらす電気的分極を、1次元電子材料による単電子トランジスタで高感度に検出するという原理に基づく。単電子トランジスタが単一電子レベルの超高感度電荷計として働くことを利用して、単一電子-正孔励起、すなわち単一光子の検出が可能になるというアイディアである。 2. 実験 1次元電子材料としてカーボンナノチューブ(CNT)を用いた。CNTトランジスタは、1電子帯電エネルギーが10~50meVと大きくなり、単電子トランジスタとして最低でも液体窒素温度以上の高温で動作する。このCNTトランジスタをGaAs/AIGaAsヘテロ構造基板上に乗せた構造を作製した。垂直に磁場を印加して、THz電磁波の応答を測定した。THz電磁波照射によってクーロンピークが正のゲート電圧方向にシフトすること、そのシフトが最大となる磁場が照射THz波の周波数に比例することを見出した。この振る舞いが2次元電子のサイクロトロン共鳴によると仮定して、有効質量を算出するとGaAsの値とよく一致することがわかった。この結果から、上記の機構の正しさを確認した。この機構による検出は、サブfWという極微弱な電磁波に対しても観測可能で、高感度THz検出器の中では比較的高温(6~7K)で動作する。今後は、1次元電子ならびに2次元電子として別の材料を試みることで、検出効率や動作温度の向上を行う。
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Research Products
(6 results)