2009 Fiscal Year Annual Research Report
数値相対論で探る連星中性子星の合体とショートガンマ線バースト
Publicly Offered Research
Project Area | Research on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science |
Project/Area Number |
21105511
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
関口 雄一郎 National Astronomical Observatory of Japan, 理論研究部, 研究員 (50531779)
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Keywords | ショートガンマ線バースト / 連星中性子星 / 重力波 / 数値相対論 |
Research Abstract |
平成21年度の研究では連星中性子星の合体の数値相対論シミュレーションを行い以下の事項の研究を行った。 (1) ショートガンマ線バーストの中心動力源として、ブラックホールとそれを取り巻くディスクが考えられている。連星中性子星の合体によってブラックホールが形成される条件について、数種類の中性子星状態方程式モデルを採用して明らかにした。合体時の天体は回転しており、その遠心力によって、回転のない場合に比べて約30%ブラックホール形成の閾値となる質量が上昇することがわかった。これは過去の研究と無矛盾である。 (2) さらに、ブラックホールの周りにディスクが形成される条件について、連星中性子星の質量比を変えたシミュレーションを行うことにより明らかにした。ショートガンマ線バーストを起こしうる大質量のディスクが形成されるためには、1:0.8程度の質量比が必要であることが分かった。 以上の成果は論文にまとめ査読論文として出版されている。 (3) 重力波は物質と相互作用することなく情報を我々に運ぶため、連星中性子星の合体からの重力波の観測はショートガンマ線バーストの中心動力源についての情報も運びうる。連星中性子星の合体によって放出される重力波の計算を行い、ショートガンマ線バーストとの関連について調べた。 以上の成果は論文にまとめ査読段階にある。 (4) 連星中性子星の合体時には、重力エネルギーが解放され熱エネルギーが生じ、ニュートリノが大量に放出される。有限温度の効果やニュートリノの効果について調べるため、新しい数値相対論コードを開発した。 以上の成果は国際会議等で発表されている。
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