2009 Fiscal Year Annual Research Report
超新星爆発後期の原始中性子星進化におけるQCD相転移の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Research on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science |
Project/Area Number |
21105512
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
安武 伸俊 National Astronomical Observatory of Japan, 理論研究部, 研究員 (10532393)
|
Keywords | 高密度天体 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は大きく3つある。 1) ひとつ目は、強磁場中性子星の構造や磁場分布を計算できるようになったことである。磁場分布に関してはQCD相転移を伴う場合とそうでない場合に明らかな違いを得た。これらは、中性子星内部の熱輸送係数やニュートリノの散乱断面積の異方性に影響を与えると考えられる。 2) 次の成果として、QCD相転移での非一様構造(パスタ構造)熱的安定性を解析した。一般に多成分系のもとでの一次相転移は、クーロン相互作用や表面張力によって非一様構造をとることが知られている。しかし、そのような構造が実現するか否かは、温度に大きく依存している。本研究は、初めてその温度依存性を明らかにしたことになる。 3) 最後の成果は、強磁場がニュートリノ散乱断面積に与える影響を、ハイペロンなどを考慮に入れたうえで見積もった。超新星爆発の時間スケールではニュートリノは原子中性子星内部に完全に束縛されているが、超新星爆発後期まで原子中性子星の進化を追う場合は、星内部の散乱断面積を計算しニュートリノがどのように放出されるかを把握する必要が出てくる。結果としては、磁場の方向に平行にでるニュートリノがよく散乱されることがわかった。 これら1)~3)は、独立の研究であったが、今後はこの全てを統一的に理解していきたい。なお、1)2)に関してはすでに学術論文雑誌に掲載されており、3)に関しては投稿中である。
|