2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト界面における自発的多重膜形成
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
21106515
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀧上 隆智 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (40271100)
|
Keywords | ギブズ膜 / 多重膜 / フルオロカーボンジオール / X線反射率 |
Research Abstract |
ソフト界面に形成される吸着膜(ギブズ膜)は、ベシクル、エマルション、生体膜などのより複雑で柔らかい分子組織体の基本骨格を成しており、それらの構造と機能の相関解明にはソフト界面ギブズ膜の構造解析が不可欠である。申請者が以前に行ったフルオロカーボン(FC)界面活性物質の油/水界面ギブズ膜に関する研究において、FCアルコールのギブズ膜では、ドメイン存在による界面不均一構造が見出されソフト界面膜の構造や性質の理解にドメイン界線の効果を考慮に入れることの重要性を示唆するに至っている。本研究では、ソフト界面に形成される多重膜を対象に、その形成原理を凝縮単分子膜との構造相関に着目し、界面張力、ブリュースター角顕微鏡(BAM)、X線反射率(XR)・回折(GIXD)の静的・動的測定を駆使して巨視・微視両観点から解明することを目指している。 本年度は、FC鎖両端にOH基を有するFCジオール(FC10diol)単独系に対して界面張力の濃度、温度、圧力を関数とした高精度測定によるギブズ膜状態の解析、およびSPring-8における静的XR測定による構造解析を行い以下の知見を得た。 1) FC10diol分子がヘキサン/水界面に対して水平に配向した凝縮単分子膜を形成する。 2) 溶液濃度の増加、温度の低下、圧力の上昇に伴い、凝縮単分子膜上に分子が自発的に積層し多重膜を形成する。 3) FC10diol分子は多重膜下層では密充填するものの、積層に伴いヘキサン分子の貫入によりパッキングが緩やかになる。 これらの成果は界面科学分野における一流学術誌であるJournal of Physical Chemistry B誌に掲載された。
|