2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質流動界面のアレイ化と分子認識
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
21106520
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩崎 泰彦 Kansai University, 化学生命工学部, 准教授 (90280990)
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Keywords | リン脂質 / 二分子膜アレイ / 高分子ブラシ / 分子認識 / 流動性 |
Research Abstract |
生体膜は究極の生体機能界面を構築する自己組織体ととらえることができ、生体の化学的多様性を制御する役割を担っている。すなわち生体のあらゆる仕組みを解明するために、生体膜の働きを理解することは重要であり、これには脂質二分子膜を天然に近い状態で自在に調製する手法が不可欠である。しかし、現時点では脂質二分子膜を平面上に作成する方法は確立されていない。そこで、本研究は高分子濃厚ブラシを利用した新たな方法で脂質二分子膜をアレイ状に再構築し、流動性に富む表面環境を利用した分子認識界面を創出することを目的とし企画された。 平成21年度は高密度ポリマーブラシをマイクロパターン化した固体基板上にリン脂質リボソームを接触させリン脂質二分子膜アレイを再現よく調製することに成功し、期間内で当初の目的を達成することができた。リン脂質リポソームは高分子ポリマーブラシ表面には全く吸着せず、ポリマーブラシの形成されていない領域に選択的に吸着し、二分子膜を形成した。アレイ状に形成された二分子膜は連続した構造を有し、二分子膜を構成しているリン脂質分子が流動性を示すことも観察できた。リボソームの脂質組成が二分子膜の組成にそのまま転写されるため、二分子膜中の脂質組成を容易に制御することができた。糖脂質やビオチン修飾脂質をリン脂質に適量加えて調製した二分子膜上では特定のタンパク質と選択的に結合することがわかった。この表面では非特異的な吸着が効果的に抑制され、血漿タンパク質が存在する条件でも特定のバイオ分子を検出できることがわかった。
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Research Products
(5 results)