2010 Fiscal Year Annual Research Report
AFMを用いた機械的伸張法によるタンパク質の揺らぎの検出と生物学的機能との関連
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107507
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
川上 勝 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 講師 (70452117)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 1分子 / フォールディング / Halotagタンパク質 / ミオグロビン |
Research Abstract |
蛋白質やその複合体は力学的刺激に対して構造を保持、または構造を変化(アンフォールディング過程を含む)させるが、これは細胞にとって外的刺激を信号として伝達する非常に重要な機能である。近年の研究により、タンパク質の力学的安定性はトポロジーだけでなく、側鎖のパッキング、特に疎水性コアの形成に関係していることが指摘されてきている。本年度の研究では1分子力学測定を、より多くの生物学的に重要なタンパク質へ応用できるよう、タンパク質の1分子固定化方法を開発した。具体的には、従来基板表面へのタンパク質の部位固定化には、タンパク質内のシステイン残基のチオール基を利用した共有結合を利用していたが、この方法ではシステインを多く含むタンパク質では多くの個所で基板へ固定化され、部位特異的な固定が出来ない。そこでチオール基に頼らない方法として、全く別の共有結合であるHalotagタンパク質を目的分子のN末端部へ導入し、基板へ固定したHalotag分子との共有結合により、目的分子を含むHalotagキメラ分子を固定化することに成功した。Halotagタンパク質の力学的特性も明らかにし、目的分子との信号の区別化を行った。 さらに22年度内には、ミオグロビンを対象とし、1分子力学実験が可能となるよう、タンパク質の調整を行った。 力学的特性が良く調べられたTitinをハンドル分子とし、ミオグロビンを挟む形でタンパク質を発現調整したところ、基板への部位固定化、そしてAFMによる1分子伸長実験データが取得できた。これによりミオグロビンの力学特性、ダイナミクス研究を行う可能性を明らかにした。
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