2010 Fiscal Year Annual Research Report
KcsAチャネル蛋白質の1分子測定による構造ゆらぎと機能ゆらぎの相関
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107508
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
老木 成稔 福井大学, 医学部, 教授 (10185176)
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Keywords | イオンチャネル / ゲーティング / 構造変化 / 1分子測定 / キネティクス |
Research Abstract |
イオンチャネルの構造ゆらぎと機能ゆらぎの相関を明らかにするためにKcsAカリウムチャネルを対象に1分子の構造変化を回折X線追跡法(DXT法)で、1分子機能測定を脂質平面膜法で行った。単一チャネル電流記録法では脂質平面膜に1分子だけ再構成することにより、通常のゲート特性以外に、サブレベルへの遷移など詳細に解析することができた。一方、DXT法には高輝度放射光施設での実験が不可欠であり、SPring-8(播磨)だけでなく、海外の施設での実験を継続して行った。ESRF(フランス、グルノーブル)とSLS、(スイス、フィリケン)で年間約400時間にわたって実験を行った。 この間、(1)ノイズを低減させるための様々な改良、(2)データ取得を効率よくおこなうための基礎的実験、(3)pHジャンプ実験、を行い、それぞれの項目で十分な成果を得ることができた。X線回折像の背景ノイズを低減させるためにX線の特性、サンプルの配置など詳細に検討し、高い信号雑音比を得ることができた。これにより従来ビデオレート(毎秒30フレーム)の測定を5000フレームにまで高速化することに成功し、構造変化の軌跡を詳細にたどることができるようになった。KcsAチャネルは中性pHではゲートが閉じたままであり、閉状態での構造ゆらぎを解析できる、一方、酸性pHで起こすゲーティング中にもその構造変化の軌跡にゆらぎをともなう。現在、これらの構造ゆらぎを定量的に解析中である。構造ゆらぎがどう機能ゆらぎに関連するのか今後検討したい。
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