2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂質・核酸複合体の動的構造と核酸送達機能
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107510
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
出羽 毅久 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (70335082)
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Keywords | 遺伝子治療 / 核酸送達 / ポリアミン / 脂質 / 原子間力顕微鏡 / 形態変化 / DDS |
Research Abstract |
核酸医薬として有望視されているカチオン性脂質と核酸からなる複合体(Lipoplex)は揺らいだ動的分子集合体であり、細胞内でのその動的挙動が機能に関与していると考えられるが、その詳細は全く不明である。本研究では、高い遺伝子送達能をもつポリアミン脂質を合成し、Lipoplexの揺らぎをともなう構造変化を蛍光顕微鏡および原子間力顕微鏡(AFM)により詳細に観察することにより、揺らぎ(構造変化)と生体機能(遺伝子送達)との相関を明らかにする。研究成果として、高い遺伝子送達能を有する新規ポリアミンの合成に成功し、その類縁体の合成も行った。ポリアミン部位のわずかな化学構造の違いが遺伝子送達活性に影響を及ぼすことが示唆された。高い活性をもつLipoplexの構造をAFMで観測した結果、ポリアミン脂質からなる二分子膜構造の間にDNAが挿入された層状構造であることが明らかとなった。細胞内取り込み後のエンドソーム環境をモデル化した系において、LipoplexからのDNAの放出が見られ、高い活性をもつLipoplexほど速やかに構造変化を起こすことが蛍光分光法およびAFMから明らかとなった。また、蛍光ラベル化したポリアミン脂質/DNA系で蛍光共鳴エネルギー移動法により、Lipoplex内のDNAとポリアミン脂質はある程度乖離することがわかり、AFM観察の結果とよい一致を示した。さらに、RNA干渉実験から、これらの誘導体は遺伝子発現抑制作用も有することが分かった。
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