2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質のレアな大振幅ゆらぎの理論解析:クラッキングの探索
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 彰二 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60304086)
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Keywords | 蛋白質 / シミュレーション / 大振幅ゆらぎ / クラッキング |
Research Abstract |
リガンド結合に伴って大きく構造変化するアロステリック蛋白質のレアな大振幅ゆらぎについて、全原子モデルと粗視化モデルを併合したマルチスケールシミュレーションによって研究した。 まず、リガンド非結合のアポ状態と結合したホロ状態の立体構造が既知のアロステリック蛋白質71個について、両構造におけるアミノ酸対相互作用を、全原子モデルにより計算した。その結果、両構造で保存されたアミノ酸対相互作用は、強いものから弱いものまで普遍則に従う指数分布をするのに対して、片方の構造でだけ見出されるアミノ酸対相互作用は、ほぼすべて弱いものでり、明確に異なる分布をもつことを発見した。この規則は対象とした41蛋白質すべてにおいて成立していた。 次に、全原子モデルによるアミノ酸対相互作用エネルギーを用いて、これに比例するエネルギーをもつ粗視化モデルを構築した。さらに、この比例係数およびほかのパラメータは、23個のテスト蛋白質について、全原子モデルで計算したゆらぎと粗視化モデルで計算したゆらぎをマッチさせることによって求めた。 このようにして得られたモデル、原子相互作用に基づく粗視化モデル(AICGモデル)のテストとして、天然状態での平均ゆらぎ、アロステリック蛋白質の構造変化方向を計算したところ、従来の粗視化モデルに比べてかなり優れた予測能力をもつことが分かった。ACIGモデルを用いて、アデニル酸キナーゼの大振幅ゆらぎを調べたところ、ホロ状態にいる蛋白質が10^<-6>程度の確率でアポ状態に近い(RMSD3.5A程度)にまでゆらぐことが明らかとなった。大振幅なゆらぎは、調和的なモデルでは記述できない。さらに、原子相互作用に基づかない従来の粗視化モデルでは、AICGに比べて、大きすぎるエネルギー障壁をもつことを示した。
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Research Products
(33 results)