2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA結合タンパク質の揺らぎによる配列特異的DNA結合への影響
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今西 未来 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (80362391)
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Keywords | ジンクフィンガー / DNA結合 / 揺らぎ |
Research Abstract |
本年度は、系統的にその性質をコントロールするために改変を加えた人工ジンクフィンガー連結体を用いて、in vitroおよび細胞内環境下におけるDNA結合の揺らぎの解明に取り組んだ。具体的にはまず、DNA結合におけるフィンガー同士の協同性を調べるために、段階的なフィンガー欠失体を作製し、そのDNA結合能を詳細に検討した。その結果、フィンガー連結体の全体としてのDNA結合能は、フィンガーの組合せに依存し、組合せによっては、DNA結合能の協同的な向上のみならず、逆に、負の協同性も生じることを明らかとした。ジンクフィンガーのみならず、DNA構造の違いも、全体の相互作用に影響していると考えられる。また、細胞内でのマルチジンクフィンガーの揺らぎを明らかにするために、3~9つのフィンガーを有する人工ジンクフィンガータンパク質の蛍光タンパク質融合体を作製し、細胞内でFRAP(Fluorescence recovery after photo breach)法を用いて検討した。その結果、細胞内での見かけの拡散速度は、フィンガー数の増加に伴い顕著に小さくなることが明らかとなった。また、全てのフィンガーにおいて、DNA結合に寄与するアルギニン残基をアラニンに置換したところ、細胞内での運動性は顕著に高くなった。フィンガー数が多い場合には、それらの完全な標的配列はゲノム中にほとんど存在しなくなることから、細胞内でのマルチフィンガータンパク質の運動性の低下は、ゲノム核酸との弱い相互作用に起因することが示唆された。精製タンパク質を用いた実験結果から、フィンガー数の増加に伴い、標的配列への結合平衡到達に時間を要することが明らかとなっているが、この性質が、細胞内挙動においても反映されていると考えられる。
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