2010 Fiscal Year Annual Research Report
一分子蛍光計測による膜タンパク質構造形成過程の揺らぎ解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107514
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 義明 京都大学, 薬学研究科, 助教 (60402799)
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Keywords | 1分子計測 / 膜タンパク質 / 膜貫通ヘリックス / 蛍光励起エネルギー移動 / コレステロール / 揺らぎ |
Research Abstract |
これまでに確立した膜貫通ヘリックス会合の一分子計測条件を元に、さらに条件を最適化した。 モデル膜貫通ヘリックス(AALALAA)_3間の相互作用を蛍光励起エネルギー移動(FRET)により検出可能な事を示して来たが、FRETペアとしてCy3-Cy5ペアの代わりにより強い蛍光強度が期待できるCy3B-Cy5ペアを用いて実験を行った。Cy3をCy3Bに代えることで約1.6倍のシグナル/ノイズ比の改善が見られた。また蛍光のブリンキング、ブリーチングを抑えるには、還元剤Troloxと酸化剤Methyl viologenを併用すると良い事が明らかになった。強い自己会合が予想されるPOPC/コレステロール=7/3の組成のLUV中に、Cy3B/Cy5ラベルヘリックスを組み込み、Cy3B/Cy5の蛍光強度変化を同時測定した。ブリーチングによりCy5、Cy3Bがそれぞれ1つづつ組み込まれていたLUVを同定した。蛍光強度変化の解析を行った所、Cy3BからCy5へのFRETに揺らぎが観測された。FRET効率をヒストグラム化した所、モノマーとダイマーに相当する2つの分布ピークが見られた。さらに、モノマーとダイマーの持続時間はexponential型の分布を示し、寿命がそれぞれ160msec,50msecであった。これらから計算できる会合定数は、定常光FRET測定から得られた会合力と良く対応した。以上よりリポソーム系での一分子FRET測定は膜でのタンパク質間相互作用揺らぎを計測するのに有用な方法であることが明らかになった。また、会合揺らぎはコレステロール存在下でのみ観測された事から、脂質組成は膜貫通ヘリックスの動的挙動に大きく影響することが明らかになった。
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