2010 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド線維形成中間体の立体構造と揺らぎ
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107516
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
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Keywords | アミロイド蛋白質 / 脳神経疾患 / 透析アミロイドーシス / 脳神経疾患 / アルツハイマー病 / 糖尿病 / 蛍光顕微鏡 / NMR |
Research Abstract |
透析アミロイドーシスの原因となるβ2ミクログロブリン、およびアルツハイマー病に関わるアミロイドβ、II型糖尿病の原因となるIslet Amyloid Polypeptide (IAPP)などを材料として、アミロイド線維形成の中間体に焦点を当てて、構造と揺らぎの検出と解析を行った。 (1)溶液NMRによる線維中間体の解析:重水素交換-溶液NMR解析によって、β2ミクログロブリンの線維形成中間体の解析を更に進めた。線維の側面に結合した初期中間体が生じる原因を、蛋白質の溶解性の視点から研究した。 (2)超音波によるアミロイド線維形成:マイクロプレートリーダと超音波処理と組み合わせたアミロイドアッセイ法を開発して、さまざまな蛋白質やペプチドのアミロイド形成反応を解析した。 以上を基に、「蛋白質異常凝集の統一原理」を提唱した。つまり、アミロイド線維形成は、短いペプチドや変性した蛋白質が、溶解性を超えることによって析出する場合の、基本構造である。更に短いペプチドは三次元結晶を形成する。他方、大きな変性蛋白質は相互作用が多様であることによって不定形な凝集体を形成する。この間にあるペプチドはβ構造が基本となるアミロイド構造を形成する。そしてペプチド溶液はしばしば過飽和となるためアミロイド形成は容易には起きない。超音波は過飽和を壊すことによってアミロイド形成を促進する。本統一原理によって、アミロイド線維だけでなく、三次元結晶から不定形凝集まで、蛋白質の構造転移を包括して理解することができる。
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Research Products
(5 results)