2010 Fiscal Year Annual Research Report
光受容タンパク質の揺らぎ変化の緩和過程の検出
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107520
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
湯浅 順平 奈良先端科学技術大学院大学, 物質科学創成研究科, 助教 (00508054)
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Keywords | プローブ / 揺らぎ / 構造変化 / タンパク質 / 時間分解 / CPL / 希土類 / 発光 |
Research Abstract |
本申請研究の目的は光反応における光受容タンパクの揺らぎ変化の緩和過程を検出することである。具体的にはタンパク質に固定化させた蛍光プローブの左右円偏光成分の発光強度差(g値)を測定する。g値は蛍光プローブ(レポート分子)のキラリティーを明確に反映するため、タンパク質の超分子構造の微細な変化に対しても極めて敏感である。このg値の経時変化から光受容タンパク質の光反応による揺らぎの変化とその緩和過程を検出する。今年度(平成22年度)はスクシンイミド基を持つβジケトネート配位子をタンパク質のリシン残基と反応させてタンパク質に固定化し、この配位子部位にユーロピウム(III)イオンを配位させることでユーロピウム(III)錯体をタンパク質に固定化した。固定化を行なったタンパク質は主にウシ血清アルブミン(BSA)とStaphylococcus aureus recombinant nuclease A (SNase)の2種類であり、これら2種類のタンパク質に固定化したユーロピウム(III)錯体からは強い円偏光発光のシグナルが得られることを明らかにした。特にBSAに固定化したユーロピウム(III)錯体の円偏光発光はユーロピウム(III)イオンの電気双極子遷移と磁気双極子遷移に由来する発光バンドに大きな左右円偏光強度差を与えた。また電気双極子遷移における円偏光発光シグナルは全角運動量子数(J=2),の2J+1=5本に対応した特徴的な分裂パターンを与えた。このような円偏光発光における特徴的な分裂パターンは円偏光発光によって目的のタンパク質を識別することに役立つと考えられる。
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Research Products
(7 results)