2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の等温圧縮率と断熱圧縮率
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107526
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
神山 匡 近畿大学, 理工学部, 准教授 (50340758)
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Keywords | 揺らぎ / 圧縮率 / 蛋白質 / 密度 |
Research Abstract |
蛋白質の揺らぎは機能を発現する上で重要な要因であり、その定量化が望まれている。本研究では蛋白質の構造的な体積揺らぎを反映する等温圧縮率を決定するために、高温・高圧での密度測定(10^<-6>g/cm^3)が可能な装置の開発と改良および測定を行った。 【装置改良】新たな試料導入口の設置と圧媒体に水を使用することにより、測定試料量を25mlから4mlへの減量化に成功した。この減量化により、希少サンプルの測定が可能となった。【等温圧縮率測定】改良した高温・高圧密度計を用いて球状蛋白質(Bovine Albumin、Chicken Albumin、Lysozyme)、アミノ酸(Proline、Glutamic acid)、糖(Cyclodextrin)の水溶液における高温・高圧密度測定を行い、各温度における等温圧縮率を決定した。Prolineの等温圧縮率は負であったが、他の溶質は正の圧縮率を示しており、立体構造の形成に伴う内部の空間(cavity)が圧縮スペースになっていることが分かった。タンパク質の等温圧縮率は断熱圧縮率(文献値)よりも大きい傾向があり、圧縮率から求まる25℃における体積揺らぎは、全体積のおよそ0.22-0.38%に相当することがわかった。等温圧縮率は温度と共に増加し、また、体積揺らぎの割合は分子量が大きいほど小さくなっており、熱振動に由来する揺らぎとcavityに由来する揺らぎが存在することが示唆された。【熱膨張率測定】高度分岐環状デキストリンの熱膨張率は球状蛋白質の数倍であったことから、蛋白質は糖鎖よりも分子内相互作用が強く、熱的振動の影響を受けにくいことが分かった。
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Research Products
(5 results)