2009 Fiscal Year Annual Research Report
テロメアDNAの四重らせん構造形成における揺らぎと機能に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107528
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
松下 琢 Sojo University, 生物生命学部, 教授 (10209538)
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Keywords | ラロメア / 揺らぎ / G-quadruplex / 四重らせん構造 / 1分子計測 / ナノバイオ |
Research Abstract |
本研究では、染色体の安定化や、細胞の老化やがん化に関与するヒトテロメアDNAに特徴的な「四重らせん構造」形成と、その揺らぎに関与する金属陽イオンの影響の解明を目指している。 今年度は、ヒトテロメアの繰り返し塩基配列を有した一本鎖オリゴ-DNA(22塩基)を合成し、両末端に2種の蛍光プローブを修飾することで、テロメアDNAが一本鎖から四重鎖構造を形成したときのみ、FRET現象によって蛍光を発する実験系を構築した。この実験系を用いて以下の知見が得られた。1、テロメア「四重らせん構造」形成に与えるカチオン種の影響について検討した結果、Na^+・K^+・Ca^<2+>・Rb^+がこの四重らせん構造形成を促進し、Li^+・Mg^<2+>・Cs^+は影響しないことが示された。すなわち、4つのグアニンの水素結合によって形成されるG-カルテットの安定化に金属陽イオンが関与し、その安定化には、ポーリングのイオン半径(最適なイオン半径の範囲が存在する)と脱水和エネルギーが関与することが示唆された。 2、上記の研究成果を踏まえ、代表者が所属する崇城大学上岡研と分子科学研究所平田研の間での共同研究で、三次元RISM理論による水溶液中での分子構造に関する理論解析が行われ、実験結果と同様に、G-カルテットの中央部にNa^+が存在していることが、計算によっても示された。 3、蛍光相関分光法を用いた1分子蛍光測定によって、Na^+による「四重らせん構造」形成促進には、濃度依存的があることが示唆された
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