2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質膜の過渡的相分離過程における構造・物性とその機構
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107530
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
手老 龍吾 Institute for Molecular Science, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (40390679)
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Keywords | 脂質 / 細胞膜 / AFM / 蛍光顕微鏡 / 1分子計測 |
Research Abstract |
脂質二重膜は細胞膜の基本骨格であり、「ラフト」に代表される脂質膜内でのドメインの形成と解消を通して生命活動を担う細胞内外との情報・物質・エネルギーのやり取りのための反応場を提供している。リポソームや黒膜をなどの人工脂質二重膜を用いた相分離の研究は数多くなされているが、その多くは脂質組成と温度によって一義に表される相平衡状態を対称にしたものだった。申請者らはラフトモデル脂質膜として調製したガングリオシドGM1(GM1),スフィンゴミエリン(SM),コレステロール(chol)からなる支持平面脂質二重膜(SPLB)において、24時間かけて基板表面周期構造の影響を受けつつ進行する相分離現象を見いだしており、本研究ではその過渡期における脂質膜の構造・物性・膜内分子運動を明らかにすることを目的としている。平成21年度は脂質膜の相分離構造を高感度・高解像度で観察するための冷却CCDカメラを導入し、マイカおよびSiO_2上でSM、cholからなるSPLBの作製と構造観察を行った。また、連携研究者の佐崎博士と脂質膜中の蛍光1分子観察に取り組んだ。SPLB中での脂質分子の拡散係数が100nm~1μm領域で約1/2に減衰し、その過程が基板表面ナノ構造に依存して変化していることを見いだした。研究後半となる平成22年度はGM1を含むSPLBの相分離挙動と膜内分子運度に注目する。CCDカメラと連動して動作する電動シャッターを組み合わせることで数時間~数十時間のオーダーで進むドメイン形成の過程を追跡し、相分離前後およびその過程における膜内分子拡散挙動の直接観察を行う。
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Research Products
(10 results)