2009 Fiscal Year Annual Research Report
環骨格で構造制御された高周期14族π電子系化合物の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
21108501
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩本 武明 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (70302081)
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Keywords | ケイ素-ケイ素二重結合 / π電子系化合物 / 環骨格 / 非平面二重結合 |
Research Abstract |
湾曲した非平面のπ結合(シス折れ曲がり二重結合)は、結合を形成するp軌道同士の重なりが平面構造の場合に比べて小さい。そのため、非平面π結合をもつ化合物は、高い反応性と特異な電子状態を示すことが知られている。本研究では、非平面のケイ素-ケイ素二重結合をもつ化合物であるジシレンの二重結合周りの構造(非平面性)と物性および反応性の相関を明らかにすることを目的としている。今年度はビシクロオクタ-1(5)-エン骨格の3,7位がアルキル鎖等で連結され、二重結合周りがより非平面性の高いジシレンの合成を目指し、その前駆体を合成した。ビシクロオクタ-1(5)-エン骨格を持つジシレンが四員環状ケイ素化合物1,1-ジクロロシクロテトラシランの還元により合成できることに着目し、ビシクロオクタ-1(5)-エン骨格の3,7位に置換可能なフェニル基をもつジシレンを合成するための1,1-ジハロ-3-フェニルシクロテトラシランの前駆体を選択的かっ高収率で得る合成経路を確立した。また、これまでに見出していた環外ケイ素-ケイ素二重結合をもつ四員環状ジシレンであるシリレンシクロテトラシランが、熱的に容易に環拡大して、環内二重結合をもつ五員環ジシレンであるシクロペンタシレンを与える反応が、段階的な分子内シリル転位で進行していることを、速度論的解析により求められた活性化パラメータおよびモデル化合物の理論計算より明らかにした。また、関連して五員環外にケイ素-窒素二重結合をもつシランイミンが環内ケイ素-炭素二重結合をもつシラエテンに異性化するこれまでにない反応を明らかにした。
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