2010 Fiscal Year Annual Research Report
π軌道-金属軌道接合を有する高次π空間の界面電荷輸送特性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
21108504
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金原 正幸 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (40375415)
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Keywords | 金ナノ粒子 / キャリア輸送 / 導電性ナノ粒子 |
Research Abstract |
我々はナノ粒子間のキャリア輸送改善がナノ粒子デバイス実現のための必須項目であると確信し、配位子層へ電気伝導性を付与すべく、大環状π共役系配位子のπ軌道を金表面に強固に固定化した金ナノ粒子、すなわちπ接合金ナノ粒子の合成を行ってきた。金ナノ粒子の保護配位子としてポルフィリンSC_nPの合成と、これらに保護された金ナノ粒子の調製を行った。得られたポルフィリン誘導体保護金ナノ粒子(SC_0P-Au、SC_1P-Au)のUV-visスペクトルから、SC_0P-Au、SC_1P-Auのポルフィリン環のソーレー帯に帰属されるピーク強度が配位子単独のものよりも非常に弱く、また長波長側にシフトしているため、金軌道-ポルフィリンπ軌道間相互作用により、ポルフィリン環の電子状態が影響を受けていることが示唆された。さらに、ポルフィリン-金ナノ粒子間距離を考えると、分子構造を反映しSC_0PはSC_1Pより金表面近傍に位置するため、ソーレー帯吸光度の減少率が大きい、すなわちより強いポルフィリンπ軌道-金軌道間相互作用の存在が明らかとなった。これは距離に依存してπ軌道-金軌道間相互作用が明確に変化することを示した点で重要である。以上述べたπ接合金ナノ粒子は安定な溶液として利用可能であり、常温常圧での塗布乾燥のみによって金属光沢を有するナノ粒子薄膜を作製可能である。「配位子層に導電性を有する」π接合ナノ粒子の実現によって、ナノ粒子溶液印刷プロセスを用いた各種デバイス作製の実用化が視野に入りつつあると期待している。
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