2009 Fiscal Year Annual Research Report
貝殻から熱水噴出活動を復元する
Publicly Offered Research
Project Area | Project TAIGA: Trans-crustal Advection and In-situ biogeochemical processes of Global sub-seafloor Aquifer |
Project/Area Number |
21109505
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤倉 克則 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (10344293)
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Keywords | 化学合成生態系 / シロウリガイ / シンカイヒバリガイ / マーキング / 成長 / 化学環境 |
Research Abstract |
深海底において,海底下から供給される様々な元素を含む流体は,「海底下の大河」と称され,全球の可川が海にもたらすのと同量の水が動いていると言われる.海底下の大河の「河口」ともいうべき流体の流出域は,熱水噴出域あるいはメタン湧水域として知られ,この周辺には様々な生物が高密度で生息する化学合成生物群集が形成される.しかし,深海底では長期的な連続調査が難しいことから,「海底下の大河」から供給される化学物質が,どの程度,化学合成生物群集に影響を及ぼしているか見積もることができていない. 化学合成生物群集の半数以上は軟体動物である.生物が有する石灰質の殻に含まれる元素組成は,生物の生息する環境によって変化する.この性質を利用して,軟体動物などが形成する石灰質の殻の元素組成,および安定同位体比組成の変化から環境復元が行われてきた.従って,貝殻の成長方向に元素組成および同位体比組成の変化を調べることによって,当該生物の生息期間に環境にどのような変化が起こったのか推測できる.しかしながら,熱水噴出域やメタン湧水域の生物に関しては,元素分析から金属元素の蓄積等が調査されるに留まっている.本研究のように「生物に記録された環境変動を引き出す」という視点からの研究はない.このような取り組みでは,環境変動と生物活動の関係を高精度に評価できる. そこで,化学合成生態系に固有な二枚貝の貝殻に含まれる化学組成変化を検出し,深海域の熱水噴出活動やメタン湧水活動の変動を評価することを目的に本研究を行った.21年度は無人探査機を用い相模湾の湧水域でシロウリガイ類を対象に実験を行った.実験開始の目安が必要なため,in situで貝殻に蛍光色素やストロンチウムを取り込ませるマーキングを行った.現在,サンプルの一部を回収し,マーキングできているかどうか確認している.
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