2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ元素の特性を活用した新しい有機伝導体の開発
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontier in Materials Science Opened by Molecular Degrees of Freedom |
Project/Area Number |
21110514
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
今久保 達郎 Nagaoka University of Technology, 工学部, 准教授 (60291332)
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Keywords | 有機導体 / 分子性固体 / 超伝導材料・素子 / 超分子化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
1. DMEDO-TSeF系超伝導体における新しい結晶溶媒の探索 環状エーテルを用いた系で複数の超伝導体が見つかっている、κ型構造持つDMEDO-TSeFのAuCN_4塩について、エタノールなどのアルコール系溶媒を導入した結晶作成を試みたところ、多数の新結晶を得ることに成功した。エタノール以外には、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、シクロヘキサノールを結晶溶媒として取り込んだ組み合わせにおいて単結晶が得られている。X線結晶構造解析の結果から、これらの新結晶は、既報の超伝導体と同じくκ型のドナー分子配列を有していることがわかった。電気伝導度測定の結果から4.2Kまで安定な金属状態を保持することが確認されたが、現在までのところ超伝導転移は見つかっていない。今後より低温(4.2~1.5K)での測定を実施することにより、超伝導相の発見が期待される。 2. エチレジオキシ基を有する新規ドナー分子EDO-TSeFの合成 PF_6塩において巨大光応答が報告されているドナー分子EDO-TTFのセレン誘導体であるEDO-TSeFについて、分子合成と基礎的な性質について検討を行った。EDO-TSeFの合成は、従来のTTF誘導体の合成で用いられるP(OEt)_3を用いたカップリング反応ではなく、(R_2N)_3P(HMPT:R=Me, HEPT:R=Et)を用いた穏和な条件でのカップリング反応を採用することにより、高収率で目的物を得ることに成功した。EDO-TSeFは有機溶媒に対する高い溶解性を有しており、サイクリックボルタンメトリーの結果からは、良好なドナー性を有していることが確認された。
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