2009 Fiscal Year Annual Research Report
縮重軌道ラジカル分子の分子設計と開発
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontier in Materials Science Opened by Molecular Degrees of Freedom |
Project/Area Number |
21110519
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田村 雅史 Tokyo University of Science, 理工学部, 教授 (00231423)
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Keywords | 磁性 / 分子性固体 / 強相関電子系 / 有機導体 / 物性実験 |
Research Abstract |
縮重した不対電子軌道をもつ分子を用いて,新しい電子物性を発現する系をつくるため,3つ以上のラジカル配位子を金属イオンに配位させた錯体の開発,および,1つの炭素原子に3つのNO基が結合した化合物の合成に取り組んできた。ラジカル配位子として,1,10-フェナントロリン骨格にニトロニルニトロキシドを縮合させた分子を設計し,原料としてのフェナントロリンキノンからオキシム誘導体を合成した。当初計画したオキシム誘導体からのニトロニルニトロキシドの直接合成はできず,いったん還元してヒドロキシルアミンを経由する合成法の検討に着手した。1炭素に3つのNO基が結合したグアニジン型ラジカル分子の合成は,既存ニトロニルニトロキシドにニトロソ化合物を反応させて成功したが,21年度に別グループによって同種の合成が報告された。そこで,より一般的で高対称なグアニジン型ラジカル分子の合成法確立に向け,中間体精製法と新しい合成経路の探索を進めてきた。物性評価測定の面では,低温磁場中での電気抵抗など基本物性測定系を完成させ,特異なバンド構造をもつ有機導体の面間抵抗の研究に適用開始した。また,赤外~可視域の分光測定に適合する温度可変装置の設計と試作を進めた。そのほか,すでに測定を進めてきた三角格子量子反強磁性体の偏光分光による異方性の評価・解析を進め,得られた結果の主要部分を口頭発表により報告した。また,高圧下のθ型ET塩が,固体の電子状態として特異な縮重状態といえるディラックコーン型ゼロギャップ系であることを明らかにする研究論文に貢献した。
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Research Products
(3 results)