2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボンや有機高分子をプラットホームとしたナノ金属錯体クラスターの集積化
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111507
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 浩史 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (60397453)
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Keywords | 多核金属錯体 / カーボンナノチューブ / 2次電池 / ナノ複合化 |
Research Abstract |
次世代スピン/エレクトロニクスデバイスに応用可能な高機能材料の開発を考えると、分子一つ一つの磁気/電子機能を最大限に引き出せる物質系の創製が必要不可欠である。本研究では、そのような物質系の開発を目的に、高い電気伝導性や大きな比表面積などから注目を集めている単層カーボンナノチューブ(SWNT)と多彩な電気・磁気機能を有する多核金属錯体分子からなるハイブリッドマテリアルの創製をおこない、その電池特性を検討した。ここでは、SWNTのトルエン懸濁液と多核金属錯体分子としてポリオキソメタレート(POM、[PMo_<12>O_<40>]^<3->)のアセトニトリル溶液を混合することによって、SWNT-POM複合体を得た。TEM像よりSWNT上に直径1.4nmの黒い粒子が観測され、EDXによってMo元素の存在が確認された。このことは1分子~数分子単位でPOMがSWNT表面に吸着していることを意味する。この複合体を正極としたリチウム2次電池の充放電特性を測定した結果、SWNT-POM複合体では、POMのみを正極とする電池よりも放電容量が増大することが分かった。また、充放電レート依存性を測定したところ、POMのみを正極活物質とした場合よりも2倍程度速い充電が観測された。このような急速充放電および高容量化は、ナノカーボンとの複合化により、分子クラスター1つ1つから効率的に電子を取り出せるようになったこととリチウムイオン(対カチオン)の素早い保持、拡散が可能になったことに起因すると考えられる。このように、多核金属錯体とナノカーボンのナノ複合化が、高機能を有する物質の創出に有用であることを初めて示すことができた。
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Research Products
(14 results)