2009 Fiscal Year Annual Research Report
相補的塩橋形成を利用した動的トポロジカル空間の創製と応用
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111508
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古荘 義雄 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00281270)
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Keywords | 多重らせん / トポロジー / 相補的な塩橋 / 動的空間 / アミジン |
Research Abstract |
相補的な塩橋を用いた「動的な」シリンダー型多重らせんやインターロック化合物などのトポロジカル超分子を構築するための一般性の高い手法の確立、さらに、トポロジカルキラリティーの制御とその実現、構造と物性との相関の解明、環境の変化に動的に応答しうる機能の創発を目指している。 平成20年度に引き続き、アミジンとカルボン酸からなる相補的な塩橋ユニットを用いた二重らせん高分子・超分子の合成研究を推進した。まず、アミジンとカルボン酸の構造を少し変化させると、らせんの反転運動が起こりやすくなることを見いだした。これは、分子鎖の構造を変化させることにより、らせんの運動性を変化させることが出来ることを意味するものである。また、相補的な分子鎖(テンプレート)の存在下で分子鎖を連結して二重らせん分子を合成したところ、テンプレートにより著しく反応が加速されることを見いだした。これは二重らせん構造が複製を行うのに優れた反応場を提供していることを示唆しており、今後、人工複製系への展開がおおいに期待される結果である。さらに、昨年度合成に成功した塩橋構造を持つ[2]カテナンについて、設計の一般性について検討したところ、設計性には大きな自由度があり、種々の構造を持つカテナンが合成可能であることを示すことが出来た。これらの[2]カテナンは2つのマクロサイクル成分が塩橋を介して連結されているが、酸と塩基を交互に加えることにより、二つのマクロサイクル成分の相対運動性が制御できることが明らかになった。また、[2]カテナンにZn^<2+>イオンを加えると、塩橋が切断されるだけでなく、蛍光強度が増大し、かつ長波長シフトすることを見いだした。ここにクリプタンドを加えると塩橋は回復し、蛍光は元に戻る。マクロサイクル成分単体ではこのようなスイッチ機能は発現しないことから、[2]カテナンの動的な構造変化に特異的な現象であると考えられる。
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Research Products
(42 results)