2009 Fiscal Year Annual Research Report
錯体ナノ空間への高分子導入による創発機能の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111510
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植村 卓史 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (50346079)
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Keywords | 多孔性金属錯体 / 高分子 / 機能性材料 / ナノ複合体 / ナノ空間 |
Research Abstract |
金属イオンと有機架橋配位子から自己集合的に構築される多孔性金属錯体の特徴の1つに、溶媒吸着やガス吸着といった化学的刺激によって構造が柔軟に変化できる事が挙げられる。そのような多孔性金属錯体にゲスト分子を導入後、外部刺激によってホストの構造を変化させ、ゲスト周りの環境変化を誘起する事で、ゲスト分子の持つ物性をコントロールできると期待される。本研究では、蛍光性オリゴマーであるdistyrylbenzene(DSB)を導入し、吸着や熱といった外部刺激を与える事で、発光をスイッチングすることを試みた。ホスト錯体として、正方形型のチャンネル構造(細孔径=7.5×7.5Å^2)を有する[Zn_2(terephthalate)_2(triethylenediamine)]_n(1)を合成した。DSBと1を混合した後、DSBを昇華させる事でホストへの導入に成功した。XRPD測定より、DSB導入後の複合体のホスト骨格は、元の骨格が歪んだ別の骨格1'に変化している事を確認した。また、その複合体(1'⊃DSB)にアセトニトリルを吸着させると、ホスト骨格が元の1へと変化した複合体(1⊃[DSB+CH_3CN])が得られた。蛍光測定を行ったところ、1'⊃DSBではゲスト分子由来の蛍光が消光している一方、1⊃[DSB+CH_3CN]では蛍光強度が大きくなっている事が判明した。IRやUV測定、及び理論計算より、1'⊃DSBにおいて細孔内のDSBは平面状からかなりねじれを生じている事が明らかになり、これが消光の要因になっている事が示唆された。1⊃[DSB+CH3CN]において、アセトニトリルを加熱除去する事でホスト骨格や蛍光挙動が1'⊃DSBに可逆に戻る事を確認しており、吸着や熱といった外部刺激を与える事により、ホスト骨格の変化を伴う発光スイッチングをする事ができた。
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Research Products
(1 results)