2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の空間制御集積化を基軸とする動的金属錯体ナノシステムの創発
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111512
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 俊一 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90116088)
|
Keywords | ペプチド / 集積型錯体 / 自己組織化 / 不斉組織体 / 発光特性 |
Research Abstract |
本研究では、高次構造および不斉会合特性を有する生体分子を土台分子として着目し、発光特性や触媒能を有する機能性金属錯体を集積化することにより、本来の機能物質の機能を越えた、または全く別の機能を有する生体分子の空間制御集積化を基軸とする動的金属錯体ナノシステムを創発することを目的とする。本年度は、ポリアリルアミンへのAu(I)塩の導入に基づく機能創発金属錯体ナノシステムの開発を行った。 カチオン性の側鎖を有するポリアリルアミンと、アニオン性のAu(I)塩であるK[Au(CN)_2]との錯形成挙動について、溶媒として超純水を用いて各種スペクトルで検討を行った。混合割合を変化させて発光スペクトルの測定を行ったところ、ポリアリルアミン存在下では、Au(I)-Au(I)相互作用に基づく発光が観測された。K[Au(CN)_2]のみでは、そのような発光は観測されなかった。カチオン性の側鎖を有するポリアリルアミンが機能的な土台分子として作用し、静電的相互作用に基づく[Au(CN)_2]^-の集積化が可能となり、Au(I)-Au(I)相互作用に基づく特異発光が観測されたものと考えられる。 また、らせん周りにアニオン電荷を有するポリグルタミン酸を土台分子として用い、異種金属の集積化についても検討した。例えば、イリジウム錯体とルテニウム錯体の導入が可能であることが明らかとなった。現在、エネルギー移動に基づく発光挙動について研究を展開している。
|