2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムタンパク質をバイオモチーフとする巨大超分子ポリマーの形成評価と機能化
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111513
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20222226)
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Keywords | ヘムタンパク質 / 補欠分子 / 超分子ポリマー / ナノサイズ / 自己組織化 |
Research Abstract |
これまで、我々のグループでは、超分子タンパク質ポリマーのユニット(モノマー)としてチトクロムb562を用いて、1次元、2次元構造のクラスターの構築を実施してきた。本年度は別のタンパク質として、酸素貯蔵を役割とするミオグロビンに焦点をあて、ミオグロビンの集合体形成を試みた。まず、ミオグロビンの表面に位置するAla125をシステイン(Cys)に変換した変異体A125Cを調製し、そのシステインの残基末端のチオールに、ヘムを共有結合でつなげた。得られたヘム修飾ミオグロビンにおいて、天然のヘムを酸変性させることにより、ヘムが表面に結合したアポタンパク質を調製し、表面のヘムが他のミオグロビンのヘムポケットに結合したミオグロビンのポリマーを得た。このポリマー形成は、サイズ排除クロマトグラフィーで明らかにし、さらにはAFM(原子間力顕微鏡)で、直鎖状のポリマーが形成されていることを観測した。次にこのミオグロビンポリマーの酸素親和性を測定したところ、天然のミオグロビンと遜色ないことが明らかとなり、ポリマー化が本来のミオグロビンの機能に影響を及ぼさないことを確認した。次に過酸化水素をポリマー溶液に滴下したところ、ラジカルの発生を介し、ポリマー同士が共有結合で結ばれた(ラジカルカップリンを生じた)クロスリンクポリマーの構築を行った。得られた巨大クラスターは、STEMによって、スポンジ状の集合体を形成していることを見出した。このミオグロビンの超分子ポリマーは、今後、様々なバイオナノマテリアルに応用可能と期待される。
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Research Products
(4 results)