2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNAモチーフ集積型リボザイムを基盤とする動的分子システムの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111518
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井川 善也 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (70281087)
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Keywords | リボザイム / RNA / バオモチーフ |
Research Abstract |
RNAは生体内で最も多機能な高分子であり、生命科学の最もホットな研究対象の1つであるだけでなく、ナノテクノロジーの素材、さらには「RNAワールドの再創製」「RNA合成生物学」など、「創発」をキーワードとする学術研究の主要な対象の一つとなっている。 本課題では、分子生物学および生体機能化学の分野で注目を集める「RNA酵素(リボザイム)」を素材とし、RNAモチーフの特性を駆使し、動的機能の組み込みと高次複合化に挑戦する。 H21年度は以下の2つの課題に取り組んだ。 課題1:ターンオーバー型DSLリボザイムの分子認識モチーフの最適化 ターンオーバー型DSLリボザイムにおいて、基質ユニットと酵素ユニットは2組の高次非共有結合相互作用で会合する。この高次非共有結合相互作用を担うRNA部分は構造上、同種の他の構造と交換可能なユニットとして組み込まれている。高次非共有結合相互作用を担うRNA構ユニットを系統的に置換し、また2組のユニットの組み合わせも系統的に探索した結果、最適化したリボザイムにおいては1分間に約1回の効率で触媒ユニットがターンオーバーし、総ターンオーバー数は500回を超えた。 課題2:ターンオーバー型DSLリボザイム-基質ユニットへの構造変換モチーフの組み込み 分子認識モチーフを最適化したDSLリボザイムのターンオーバー効率をさらに高めるために、RNA連結反応によって大きな構造が大きく変化し、リボザイムとの親和性を消失する「構造変換型基質ユニット」を設計した。実際に合成したRNAは連結反応がおこる以前から経時的に構造変化が観測された。この結果は基本的な分子設計が妥当である事を示している。
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