2010 Fiscal Year Annual Research Report
RNAモチーフ集積型リボザイムを基盤とする動的分子システムの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111518
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井川 善也 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70281087)
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Keywords | リボザイム / RNA / バイオモチーフ / RNA結合ペプチド / RNA構造変化 |
Research Abstract |
RNAは生体内で最も多機能な高分子であり、生命科学の最もホットな研究対象の1つであるだけでなく、ナノテクノロジーの素材、さらには「RNAワールドの再創製」「RNA合成生物学」など、「創発」をキーワードとする学術研究の主要な対象の一つとなっている。 本課題では、分子生物学および生体機能化学の分野で注目を集める「RNA酵素(リボザイム)」を素材とし、RNAモチーフの特性を駆使し、動的機能の組み込みと高次複合化に挑戦する。 H22年度は、以下の2つの課題に取り組んだ。 課題1:ターンオーバー型DSLリボザイムによるRNA構造変化の経時モニタリング DSLリボザイムに固有な機能デザインの一環として、RNAの動連な構造変化を経時的にモニタリング可能な分子システムの構築を行った。2種の異なる二次構造が形成可能なRNAに対し、一方のRNA構造のみを認識し、RNA連結反応を行うDSLリボザイムを設計した。このリボザイムによる反応の程度をプローブとして、モデルRNAの構造の経時変化を追跡した結果、従来の方法(ゲル移動度シフト法)でモニタリングした結果と良好な一致を示した。この結果はDSLリボザイムが従来にない、RNA動的構造変化を簡便にモニタリングする分子ツールとして有望である事を示している。 課題2:ターンオーバー型DSLリボザイムへのペプチドモチーフの導入 ターンオーバー型DSLリボザイムにおいて、基質ユニットと酵素ユニットは2組の高次非共有結合相互作用で会合する。昨年度、分子認識モチーフの最適化によりターンオーバー能を向上させたリボザイムに対し、天然リボザイムと同様、塩基性ペプチドを補因子として複合化させることにより、更なるターンオーバー能の向上を試みた。分子モデリングによるペプチド複合型リボザイムの設計と塩基性ペプチドの化学合成を完了し、予備的な活性測定を行った結果、ペプチド因子の添加によりターンオーバー能が優位に向上することがわかった。
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