2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応系における散逸構造としての空間周期濃度パターン形成と機能性表面の作製
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111520
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
朝倉 浩一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30222574)
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Keywords | Belouzov-Zhabotinsky反応 / 自空間挙動 / Turingパターン / 空間周期濃度パターン / 化学波 / ポリアクリルアミド / フェロイン / ルテニウムトリスビピリジル錯体 |
Research Abstract |
本研究では、Belouzov-Zhabotinsky(BZ)反応により時間的に定常な空間周期濃度パターンを発生させ、このパターンに基づいた空間周期形状パターンを形成させ固定化する技術の開発を目指している。1年目の研究において、ポリアクリルアミドゲル上にフェロインを触媒としたBZ反応が進行する溶液を展開させることで、空間周期濃度パターンを発生させる条件を既に見いだしていたため、本研究計画の2年目となった平成22年度は、BZ反応溶液中に存在するポリマーが反応挙動に対して与える影響について検討を行った。一般に、反応溶液中におけるポリマーの存在は、各化学種の拡散を抑制する効果があり、したがって、特に自触媒反応が進行する系にポリマーが存在すると、撹拌条件にしたがって反応挙動が大きく変化する場合がある。そこでまずは、異なった撹拌状態にて硫酸セリウムを触媒とするBZ反応を進行させたところ、撹拌を止めている時間帯は化学振動を示すが、高速撹拌を行っている時間帯は還元型の定常状態に留まる傾向が観察された。このことことから、還元型の定常状態は空間均一なゆらぎに対しては安定であり、化学振動における還元型の状態から酸化型の状態への転移は、局所的濃度ゆらぎの成長が系全体に伝播したものであることが予想された。したがって、ポリアクリルアミドの添加は、反応溶液の粘度を上昇させ、自触媒種の局所的濃度ゆらぎの成長に対する高速撹拌による阻害効果を低下させることが期待された。そして実際に実験を行なった結果、ある一定の撹拌速度において、ポリアクリルアミドの添加は化学振動が停止するまでの時間を伸ばすことが確認された。
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Research Products
(3 results)