2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子ナノシステムの組織的動態解明を目指す超多価プローブの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
21111521
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山口 健太郎 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (50159208)
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Keywords | イオン化 / 多価イオン / 質量分析 / CSI-MS / プローブ / pybox / ランタニド錯体 / 同位体標識 |
Research Abstract |
本研究において有機合成的に可能であり、できる限り多くの電荷を備えたプローブを開発することを第一の目的とし、これを標的分子に導入し、イオン化する手法を確立した。これにより、コールドスプレーを始めとする極めてソフトなイオン化を用いて高質量タンパク質などの構造、及びこれらと種々の低分子薬物との溶液での相互作用を解析することが可能となる。本研究を進めたことにより、電荷を積極的に被験分子に付与し、ソフトな条件でイオン化を行う多価イオンプローブの有用性が明らかとなった。また15Nラベル化プローブの導入は、単に構造解析効率の改善を果すにとどまらず、同位体効果を活用するイオンピーク比の測定によるトレース実験にも応用可能であった。また、このプローブは生体分子のみならず、ソフトな条件でイオン化困難な炭素クラスター類にも適用できる。さらに金属としてガドリニウムを用いればMRIの増感剤としても利用できる可能性力がある。本手法では複数の電荷をプローブにより生体高分子等に電荷を付与するため、質量分析の際、低質量領域に多価イオンを検出することができる。。当該プローブは1.charged site、2.linker、3.anchoring siteの3つの部分から構成され、1では、配位子の性質及び用いる金属、2では配位子と標的化合物を繋ぐ鎖の長さ、そして3では標的化合物と反応する最適活性化基について、標的分子に合わせて検討した。その結果,本研究において生体分子用多価イオンプローブの開発に成功した。さらに,この手法をイオン化が難しいとされる無置換のフラーレンやナノチューブおよびナノホーン等各種炭素クラスターに適用し、これらの簡便な多価プローブによるイオン化法を確立した。すなわち、本プローブを構成するanchoring siteとしてsarcosineやethyl malonateを用い、フラーレン類に容易に導入する手法を確立した。また、プローブ本体を導入後、pybox-Laで錯体を形成し、さらにこのリガンドの2つの窒素を^<15>Nでラベルすることにより、構造決定や各種トレース実験に用いることを可能とした。
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